東京高等裁判所 昭和39年(ネ)2211号 判決
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〔判決理由〕被控訴人は、控訴人において前記減殺の意思表示がなされたときから六ケ月以内に裁判上の請求をなしていないから、右減殺の意思表示は時効中断の効力はなく、したがつて控訴人が遺贈の事実を知つた昭和三六年二月二六日から一年後である昭和三七年二月二六日の経過とともに、控訴人の遺留分減殺請求権は時効により消滅した旨主張するので、この点につき判断する。民法第一、〇四二条に規定する一年の期間は、被控訴人主張の如く時効期間と解すべきである。しかし、遺留分減殺請求権は形成権であつて、その権利の行使は相続人から受遺者に対する意思表示によつてなせば足り、
必ずしも裁判上の請求による必要はなく、また一たん、その意思表示がなされた以上、法律上当然に減殺の効力を生ずるものと解すべきであるから、控訴人において前記の如く相続の開始および減殺すべき遺贈のあつたことを知つた昭和三六年二月二六日から一年以内である昭和三七年一月一〇日に減殺の意思表示をなした以上、右減殺の意思表示により確定的に減殺の効力が生じ、遺留分減殺請求権そのものは消滅するのであるから、そのものについては、もはや時効中断の観念を容れる余地はないといわなければならない。したがつて、控訴人においてその後六ケ月以内に裁判上の請求をしなかつたからといつて、前記意思表示に基づき生じた減殺の効力に消長を来たすいわれはないとなすべく、被控訴人の右主張は理由がなく、採用できない。(村松俊夫 兼築義春 吉野衛)